2021/10/20

白檀

お香の世界で一番使われている香木の白檀についてお話したいと思います。

香木 白檀

白檀とは、インド、インドネシア、南太平洋、オーストラリアなど広範囲に分布する

ビャクダン科の半寄生の熱帯性常緑樹です。

芽が出始めた最初は独立して育ちますが、途中から他の植物に寄生し養分を奪い成長する樹木です。

そのため、寄生する植物が近くにない場合育たないようです。

白檀は沈香と違って常温でも香りがします。

また、育つ年数が長いほど香りが良くなると言われています。

インドのマイソール産のものを老山白檀と言い、白檀の中で一番香りが良いと言われています。

インドでは白檀の事をチャンダンと呼びます。(英名はサンダルウッド[sandalwood])

白檀は芯材部分が特に香りが強いので、芯材部分をお香の原料にすることが多いそうです。

 

白檀 切株

 

写真のように色が濃くなっている中心部分に油分が多い。

 

白檀も沈香と同じように価格が高騰しています。

様々な国で白檀の精油の需要が高まり、白檀の盗伐や乱伐がおこるようになりました。

そのため、現在ではインド政府が輸出に制限をかけています。

また、精油を取るためには最低でも20~30年ほど育てる必要があり、

供給量に需要が追い付いていないため、今後も価格の高騰が止まることはないと思われます。

 

白檀の用途

老山白檀の産地のインドでは、宗教的儀式での使用だけでなく、熱冷まし効果があるとして体に塗ったり、

火葬する際の焚き木にしたりと生活の一部として紀元前より使用されてきました。

中国や日本などでも、お香としてだけでなく、

仏像などの彫刻や扇子、数珠に使用されています。

現代では多くの国で使用されており、香水やアロマテラピー、化粧品の香料としてなど様々です。

 

お香としての白檀の役割

古くからあるお香の調合表には白檀の文字が必ずあります。

お香の調合原料の中で五大香の1つとしてあげられています。

香りを形成する中でも白檀の品質の良し悪しでバランスが全て変わってくるくらい重要な役割があります。

その香りの特徴は、ほろ苦いんです。皆さんのイメージの中では白檀は甘いと思われてますが、

天然の白檀をそのまま焚くと、甘さがありますが、ほろ苦さもあります。

沈香を使ったお香にはよく白檀が調合される事が非常に多いです。

それだけ、沈香には白檀が良く合うということです。

苦い沈香には白檀の甘さが際立って感じられるかもしれません。

 

各産地での違い

白檀で最も香りが良いとされているのが、

インドのマイソール地方で採れるものです。

このマイソール産の白檀は「老山白檀」と呼ばれています。

これは商人用語と思われます。

何故、「老山」なのか?不思議に思います。

原料メーカーさんに聞くと、昔、インドでは樹木も生き物として考えられていて

生きている間に切る事は許されていなかったそうです。

そのため、白檀を採取するためには、立ち枯れした木からのみ切る事を許されていたようなのです。

立ち枯れした木の山だから「老山」なんですね。

名前から当時の歴史的背景が思い浮かびますね。

立ち枯れした白檀は大体100年経っている物もあったりしたようで、

色合いが赤みがかかった色であり、その香りは濃厚で素晴らしく良い物であったらしいです。

それが、段々と50年で切って良い、20年でも良いと法が変わったため、

今では15年で伐採されているようです。

インドの次に白檀の産地として知られているのが、インドネシアです。

インドネシアの白檀からオイルが採られている事が多かったらしいですが、

一時オイルの採取をできなくなった時にインドの方でもオイルを採るようになったと聞いてます。

白檀の香りとして甘さや苦さはあるのですが、インドの老山白檀に比べると香りの質が薄く感じられます。

有名ではないですが、南太平洋産の白檀もあります。

フィジー諸島で採取されるようです。香りはインドネシア産よりも強く甘さもあります。

ほろ苦さというよりは青苦い感じがします。

後は、オーストラリアやアフリカでも天然の白檀が採取されるようですが、

お香としては使える香りではないと聞いております。

主に加工品等で使われているようです。

 

弊社では白檀の粉末と刻みをインド産、インドネシア産、フィジー産の3種類扱っております。

ぜひともその3種類の香りの違いを楽しんでいただけたらと思います。

 

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→白檀の粉末はこちらへ