2022/01/19

香木の焚き方

香木その物の香りを楽しむ方法には、聞香(もんこう)、空薫(そらだき)、焼香(しょうこう)、燃香(ねんこう)があります。

こちらでは、手軽に香木の香りを楽しむ方法について焼香の様に香木を焚く方法を紹介致します。

 

焼香と言えば、お葬式の時にお香を指で摘まんで火の付いた香炭の上に直接のせて焚くイメージが強くありますが、

紹介する香木を焚く方法は、葬儀などでの形式に沿ったものではありません。

あくまで、香木の香りを聞いて楽しむための方法です。気軽に焚いて、香木の香りに触れて頂けたらと思います。

 

まずは、道具を用意して香木を焚く前の準備をしましょう。

 

必要な道具

香木の刻み、火箸、香炉、香炉灰、炭

必要な香道具

 

今回使う香木は沈香の刻みを使用しますが、伽羅や白檀などの他の香木でも問題ありません。

香木には様々な種類があります。気になる方は「香木について」のコラムがお勧めです。

 

→コラム「香木について」はこちらへ

 

では香木を焚いて見ましょう。

 

焚き方

ご紹介する焚き方は、一瞬で香木を焚き切る焼香と、香木が焦げない程度に温めて香りを出す空薫との中間的な方法です。

それは、香炉灰の中に香炭を埋め、香木にゆっくりと熱を与えて最終的に焼香と同様に香木が燃え尽きる焚き方になります。

なぜこの方法で焚くのかと言うと、香木は焚く温度によって香りの変化があります。

ゆっくりと焚く事で徐々に香りが立ち上がり、最後まで香りが広がります。

沈香の場合、最初に甘い香りが優しく香り、徐々に辛めのスパイシーな香りに変化していくものもあります。

 

では、焚き方について順を追って説明致します。

 

1.香炉灰をかき混ぜる

香炉灰が飛び散らないようにゆっくりと、火箸で円を描くように全体をかき混ぜて下さい。

まんべんなく空気が混ざれば、全体的に香炉灰が柔らかくフワッとなります。

香炉灰を火箸でかき混ぜることにより、酸素が香炉灰の中に含まれ香炭が途中で消えにくくなります。

香炉灰をかき混ぜる

 

2.香炉灰に香炭を埋めるための穴を掘る

香炉の真ん中に火箸などで香炭が埋まるほどの穴を作ってください。

これは、香炭を埋める穴で、香木を焚く時に直火にならないようにするためです。

※焼香の場合は、穴を掘る必要はなく、香炉灰の上に火の付いた香炭を置いて焚いて下さい。

香炉灰に香炭を埋めるための穴を掘る

 

3.香炭に火を付ける

火傷しないように注意し、火が消えない程度、香炭へ火を付けます。

香炭に火を付ける

 

4.香炉灰の上に香炭を置く

火箸で香炉の真ん中の穴に香炭を置いて下さい。

香炉灰の上に香炭を置く

 

5.香炭に火がまわるまで寝かせる

しばらく待つと香炭に火がまわり、表面が徐々に灰色へと変わっていきます。

半分程度火がまわれば灰を被せて良い合図です。

香炭に火がまわるまで寝かせる

 

6.香炭を埋める

香炭を約7ミリ程度の深く香炉灰に埋めます。

ただし、埋める深さはご使用の香炭や香炉灰、気温などによって異なります。

香木が焚きやすくなるように、香炭に被せた香炉灰をならして(平らにして)下さい。

香炭を埋める

 

慣れるまで香炭を埋める深さが分かりにくいと思います。

その場合は、火箸を垂直に香炭に当たるまで差し込んで、長さを測ってみると分かります。

 

火箸を香炭のある位置で垂直に差し込みます。

火箸を香炭のある位置で垂直に差し込み

 

差し込んだ分だけ香炉灰が先端につくので、7ミリ程度の深さかを確認します。

7ミリ程度の深さかを確認

 

7.手のひらを当てて温度を確かめる

手のひらを香炉に徐々に近づけて、温度を感じて下さい。

この際、火傷に十分注意して下さい。

手のひらが熱く、温度が高すぎるようであれば香炉灰をもう少し被せます。

熱を感じなければ、香炭にかぶせた香炉灰を少し取り除き、手のひらで温度を確かめながら調整します。

手のひらを当てて温度を確かめる

 

香炭や香炉灰、気温や湿度など様々な状況により香木に伝わる温度は変わります。

初めての場合は、どれくらいのスピードで香木が焚けるかをみて温度を覚えて下さい。

 

8.香木を焚く

香木を1~2つまみ香炭が埋まっている位置に置きます。

一瞬で燃えたり、まったく燃えなかったりする場合は香炉灰で温度を調整して下さい。

また、聞香の様に直接聞く(※1)のではなく、部屋に漂う香りを聞いて下さい。

煙が出ている状態で鼻を近づけると、香りが分かりにくくなります。

香木を焚く

 

香木が焚けるまでの変化

香木を置いてすぐには変化が無いように見えますが、うっすらと煙のような香気が立ち昇ります。

油分が多い沈香であれば、刻みの表面に黒い樹脂分が沸々と湧くように出てきます。

香木が焚けるまでの変化 煙のような香気

 

数十秒後に徐々に刻みが黒く燃えていきます。

香木が焚けるまでの変化 徐々に刻みが黒く燃える

 

ゆっくりと全体が燃えてゆきます。

香木が焚けるまでの変化 ゆっくりと全体が燃える

 

香木を追加して焚く場合は、全て燃えきってからにして下さい。

香木に火が残っているまま、次の香木を焚くと一瞬で火が付いてしまいますので注意して下さい。

 

説明の通りに焚く事が出来ない場合、順序7に戻り温度の調整を行ってみて下さい。

お使いの香炉灰や香炭、気温、湿度などや、香木の種類や質によって最適な温度は変わります。

繰り返し行う事で、適温や香りが分かるようになりますので、楽しみながら覚えると良いと思います。

 

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※1 聞く:お香の世界では香りを嗅ぐことを「香りを聞く」といいます。

 

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